「髪にコシがある」という表現を耳にすることはあっても、どのような状態を指すのかイメージしづらいものです。「コシ」とは、一言でいうと「髪の弾力性」を指します。
髪のコシが失われる原因、またはその対処法を正しく知ることは、自分の髪を若々しく保つヒントを得ることにつながります。この記事を読んで、自分に合った対処法を知り、コシのある若々しい髪を目指しましょう。
髪のコシとは?
「コシ」とは、髪の毛に力を加えたときに長さや体積が変化し、力を除くと元に戻る「弾性」のことです。髪を指に巻き付けて手を離したときに、すぐに元の状態に戻るのが「コシ」のある状態といえます。コシがない髪は、しなやかさやボリュームがなく、若々しい印象からは遠のいてしまいます。
ハリとの違い
「ハリ」とは、毛髪を引っ張ったときに細くなりながら伸びた後、切れずに耐えられる「強度」のことです。ハリがない髪は、髪を梳いたり髪を結ったりする際に、引っ張られる力に耐えきれず、切れ毛を起こしやすくなってしまいます。
髪のコシがなくなる原因
若々しい印象を保つために大きく関与する髪のコシですが、髪のコシがなくなる原因として、どのようなものが挙げられるのかを解説します。
髪内部の潤いや水分の減少
ドライヤーの熱や紫外線、ヘアカラーなどの外的要因で髪内部の脂質や水分が減少すると、髪のコシが失われます。健康な髪の内部は、脂質や水分が詰まっていて、外側をキューティクルが覆っている状態です。
しかし、上記で述べたようなさまざまな外的要因によって、外側にあるキューティクルが剥がれると、内部にある栄養や水分が流れ出てしまいます。髪の内部に必要な水分が失われることで、パサパサした髪になってしまうのです。
生活習慣の乱れ
運動不足やバランスの偏った食事、質の悪い睡眠といった生活習慣の乱れにより、血行が悪くなって頭皮に栄養がいかなくなるのも、髪のコシが低下する要因のひとつです。頭皮に栄養が行き渡らないと、必要な栄養素を髪に届けることも難しくなります。
このように、生活習慣の乱れが髪の栄養不足を引き起こすこととなり、結果的にパサついた髪になってしまうのです。
ホルモンバランスの乱れ
女性の場合、妊娠や出産、更年期などにホルモンバランスが乱れ、髪の成長を促す女性ホルモンの一種・エストロゲンの分泌量が減ります。男性は女性ほど大きな乱れはありませんが、少なからず影響はあります。
エストロゲンは、肌や髪のハリを保つ作用があるため、エストロゲンの分泌量が減ると、髪のコシの低下につながってしまうのです。このように、ホルモンバランスは髪の状態に大きく関与するため、ホルモンバランスが乱れると、髪の状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
紫外線やヘアカラーなどのダメージ
紫外線やヘアカラー、ブリーチ、パーマ、ドライヤーやヘアアイロンの熱、摩擦などの物理的なダメージも原因のひとつです。髪の外側を覆っているキューティクルが傷ついたり剝がれたりすると、髪内部の栄養が流れ出てしまいます。
たとえば、ヘアカラーを繰り返したり、ハイトーンにしたりすると、髪が傷みやすくなることは、多くの人が知っている事実です。薬剤による髪へのダメージで、髪内部の栄養が流れ出てしまい、髪が傷みやすくなってしまうためです。
ヘアカラー、ブリーチ、パーマなどの薬剤のみならず、普段使用するドライヤーやヘアアイロンの熱、摩擦、または紫外線など、髪にダメージを与える原因は日常生活の中にたくさんひそんでいます。髪に物理的なダメージを繰り返すことは、髪の傷みを増長させてしまいます。
健やかな髪を保つためにも、髪のダメージの原因を知り、ダメージを最小限に留めるようにしましょう。
間違ったヘアケア
髪の毛のコシが原因として、ヘアケアのアイテムや方法が不適切な可能性もあります。髪を乾かさずに放置したり、タオルドライをせずにドライヤーをしてしまったりすると、髪にダメージを与えてしまいます。
また、詳しくは後述しますが、コンディショナーやトリートメントなど、用途に応じた使い分けをしないと、髪の状態を良くするどころか、余計なダメージを与えることになりかねません。ケアしているつもりでも、間違ったヘアケアを続けていると、髪の状態は改善されないのです。
現在のヘアケアが正しいものかもう一度見直し、間違っている場合にはケアの方法を改善するようにしましょう。
内臓の疾患
髪のコシがなくなったり、薄毛や抜け毛が気になったりする場合は、肝臓疾患の可能性もあります。肝臓にはタンパク質を合成するはたらきがあり、肝機能が低下すると、髪の成長に必要なタンパク質が十分に合成されなくなるためです。
また、髪や内臓にはタンパク質などの栄養素が不可欠ですが、内臓は生命の維持に直結するため、髪よりも内臓へ優先的に栄養素が使用されます。そのため、髪に十分なタンパク質が行き渡らず、コシのない髪になってしまうのです。つまり、健康な髪を保つためには、体内から健康を保つ必要があります。
髪のコシを取り戻す方法
ここまで髪のコシが低下する原因について解説しましたが、ここからは、実際どのように対処すれば髪のコシを取り戻せるのかを解説します。
頭皮ケアを行う
頭皮の汚れを落とすためにシャンプーを見直したり、頭皮マッサージを行ったりすると血行も促進されます。髪の状態が悪いと、どうしても髪ばかりに注意が向きがちですが、髪だけに着目するのではなく、その基盤となる頭皮を適切にケアすれば、美しい髪が育ちやすくなるでしょう。頭皮を綺麗に保ち、マッサージなどの刺激を加えることで、健康な髪が生えやすくなります。髪の直接的なケアばかりでなく、その土壌となる頭皮のケアも見直し、頭皮から良好な状態を目指すようにしましょう。
トリートメントも使用する
シャンプーとコンディショナーだけでなく、トリートメントも使用して髪に潤いを与えることができます。コンディショナーは髪の表面をコーティングすることで、髪を絡まりにくくする効果があるのに対し、トリートメントは髪の内部まで浸透し、ダメージを修復する効果があります。
そのため、コンディショナーはシャンプーのたびに使用し、トリートメントは週に1~2回使用することが望ましいです。髪を綺麗に保ちたいからといって、毎日トリートメントを使用するのはおすすめできません。頻繁な使用により、トリートメント効果を低下させてしまうおそれがあるためです。
髪を美しく保つためには、推奨されている頻度を守り、適切に使用することが大切です。それぞれの役割の違いを理解し、必要に応じて使い分けましょう。
ドライヤーをする際にヘアオイルやトリートメントで保護する
ドライヤーをする前にヘアオイルやトリートメントを馴染ませておくと熱のダメージを軽減できます。ヘアオイルやトリートメントには、髪をコーティングすることでキューティクルを保護し、ドライヤーの熱による髪のダメージを軽減してくれる効果があるためです。
ドライヤーは毎日使う人も多く、身近なアイテムであるため、髪へのダメージを意識することは少ないものです。気づかないうちに日々のダメージが蓄積されないように、ヘアオイルやトリートメントを使って、意識的に髪を保護するようにしましょう。
バランスの良い食事
髪のコシを取り戻すためには、バランスの良い食事を心掛け、タンパク質、ビタミン、ミネラル、鉄、亜鉛など髪に必要となる栄養素を積極的に摂取しましょう。
身体は摂取した栄養素から構成されていきます。栄養が不足すると身体の不調が出ることもあるものですが、それは髪も同じです。髪に外側からアプローチするだけでなく、身体の内側からもアプローチすると、より髪のコンディションが整うでしょう。
良質な睡眠と適度な運動
毎日同じ時間に睡眠をとり、生活サイクルを乱さないことを心掛けましょう。適度な運動を行うと血行促進効果があり、頭皮に栄養がいきやすくなります。髪も、身体を構成する一部です。生活リズムを整え、運動習慣を身につけると、身体の一部である髪にも良い影響を与えられるのです。
ストレスを溜めない
ストレスは、円形脱毛症を発症する人がいるほど、頭皮に大きな影響を与えることがあります。日頃から適切な方法でストレスを解消し、溜め込まないよう心がけましょう。自分に合ったストレス解消法を知り、ストレスを発散できる状態にしておくことが大切です。
ストレス解消は、特に長時間に及ぶ必要はなく、また、何か特別なことをする必要もありません。忙しい日々の中で、自分がリラックスできる時間を持つこと、または自分の好きなことをするなど、自分に合わせたストレス解消法を探してみましょう。
心と身体は密接につながっているといわれています。日々頑張っている自分を労わり、気持ちを整えることが、ひいては髪のコンディションを整えることにつながるのです。
正しいヘアケアを行い髪を若々しくしよう
健やかな髪を目指し、若々しい印象を手に入れるためには、髪の表面的なケアだけでなく、多面的なアプローチが必要です。「ヘアケア」と一口にいっても、生活リズムの改善や自分自身のメンタルケア、日頃摂取する栄養素の見直し、頭皮ケアなど、その方法は多岐にわたります。
不足している知識や自分に合ったケアを取り入れ、自分の髪が必要としているケアを継続して実践していくことが必要です。髪のコシを取り戻し、若々しく美しい髪を保つために、正しいヘアケアで髪のコンディションを整えていきましょう。